日記 063 ちっぽけな半径3メートル

おれは世界というものにまるで興味がなくなっちゃったみたいだ。大きな思想も、政治も、精神世界も、いまは考えられない、考えたくない。いまはただ、自分から半径3メートルの中で生きているのだ。この距離でしかおれは生きていけない。鳥籠みたいなものだ。それも布をかけられた。外の景色を見ることはできない。外を見るということも忘れてしまったみたいだ。いまはただ、こもっていたい。この半径3メートルがおれの世界だ。これだけでじゅうぶんなんだ。だけど、鳥籠に被された布には、小さな穴が空いている。この小さな穴がどれだけおれを苦しめるか!ぽつりと空いた穴から光が差し込む。本能的に光を求める。だけど、おれはその穴に手をかざして、光を塞ぐ。暗闇の空間でひとりで泣く。自ら光を拒んでいる矛盾が、どうして起こるのかわからなくて。穴さえなければ、光さえ知らなければ、おれはこのまま安らかに鳥籠の中で眠っていられるのに。

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