日記 055 実家の狭い穴倉みたいなおれの部屋

実家に帰っていました。実家の部屋にいました。これが信じられないくらい不安で、まったくもって実家は人をダメにするという持論を強めたわけであります。けど、昔ニートしてたときは、あの部屋でずーっとこもって、気分がよかったんだよなあ、あの穴倉みたいな部屋。二段ベッドの下を取り外してそこに布団を敷いて、上は物置。こどおじ特有の勉強机があって、そこにパソコン。それだけの部屋だった。薄暗くて、散らかってて、でもおれはそこが大好きだった。自分の秘密基地のような、誰からも干渉されないような。でも今はたぶん違うんだろうな。あの部屋にいると、不安になる。もちろん、過去の思い出とかそういうのもあるだろうけど、あの部屋はこもり過ぎていてだめだ、排他的すぎる。社会との交流を一切たってしまっている。おれがいま求めているのは人なんだ、社会なんだ、だからもう、過去の自分とは違うんだ、と痛感した。おれはニートやら借金やら夜職やらでいろんなものを失ってきたが、いまはただ、求めている、そして失ったものを嘆いている。埋め合わせをしなければならない、ひどいことをしてきたんだ、みんなに。だから、あの部屋にいると、懺悔室みたいな雰囲気になって、もうひとりのおれっちが登場して、あのときはこうこうで・・・と懺悔すると、おれっちがウンウン、それはお前が悪いね、とピシャリと正論で殴ってくる。だから居心地悪いんだろな。でも、いつか、おれがもっと人たる人になって、しっかりと埋め合わせできたと感じられたとき、またあの部屋がいいところになるといいな。おれは将来、俺ミュージアムでおれの狭い穴倉みたいな部屋を完全再現するからさ。

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